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温泉地でテレワーク!その効果は?

更新日:2023年12月19日



地熱資源は地熱発電のような電力としてだけでなく、有名な温泉に加え、暖房や給湯というように熱として利用することができます(直接利用)。

しかし電力と違って熱は遠くまで運ぶことができません。地熱資源を熱として直接利用するためには、地熱資源の近くで地産地消をする必要がありますが、地熱資源の豊富な北海道、東北、北信越、九州などの地方地域では年々人口が減少し、日本では地熱資源を有効に活用できているとは言えないのが現状です。


一方で、コロナ禍を経て時間や場所を自由に選択して働く"リモートワーク"が注目され、居住地にとらわれない勤務形態が社会で広く受け入れられつつあります。


それを踏まえ、今回は環境省のワーケーション推進事業のモデル地域の1つに選ばれた宮城県大崎市鳴子温泉地域をテレワーク中の居住地モデルとして、「移動」「浴用」「空調」に着目して勤務形態を4つに分類、比較を行い、温泉地におけるテレワークによる環境負荷低減効果を検証しました。


通勤、移動、空調、浴用など、それぞれの生活活動におけるCO2排出量を算出した結果、温泉地に居住してテレワークを行い、浴用に温泉、空調に温泉熱を利用した場合(温泉地テレワーク②)、都市部に居住して通勤し、浴用に水道とガス、空調に電気を利用した場合(従来型)と比較して、CO2の排出量を約74%も削減できることがわかりました。


これは、後者の従来型では通勤プロセスにおいて多くのCO2を排出するのに対し、テレワークでは通勤が不要のため通勤プロセスにおけるCO2排出がないということに加え、②では浴用にも空調にも地熱資源を利用しているためガスや水道、電気をしていないことに起因しています。


以上から、地熱資源を電力だけでなく、熱として有効に直接利用することができれば、環境負荷の低減に大きく貢献できると言えます。


出典:鈴木杏奈・長谷川諒・稗貫峻一・窪田ひろみ・伊藤高敏 「テレワークと温泉熱利用による環境負荷低減効果の検証:鳴子地域のケーススタディ」日本地熱学会誌 (2022)


東北大学流体科学研究所自然構造デザイン研究分野|Waku2 as life


東北大学流体科学研究所 流動創成研究部門 鈴木研究室 HP:https://www.desfelab.com/

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